漆とは?蒔絵や金継ぎには欠かせない自然由来の原料

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漆とは、ウルシの木から採れる樹液を精製した、アジア特有の天然の植物性の塗料です。
日本では縄文時代から使われてきた、歴史のある素材でもあります。

10年以上かけて育てられたウルシの木の樹皮に、「うるしかき」と呼ばれる職人が 熟練の技で丁寧に傷をつけ、少しずつ樹液を採取します。
一度にたくさん採れるものではなく、時間と手間をかけて集められる、とても貴重な素材です。

採れたばかりの漆は、そのままでは使えません。
「ナヤシ」「クロメ」といった工程を経て、はじめて塗料として使える状態になります。

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漆の特徴

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漆の最大の特徴は、乾き方にあります。

一般的な塗料のように自然乾燥するのではなく、湿度70〜80%ほどの環環境で、酸素と酵素の働きによって硬化します。
この独特の仕組みによって、非常に強い塗膜が生まれます。

・水や熱に強い
・酸やアルカリにも強い
・抗菌作用がある

こうした特性を持つため、食器や家具、神社仏閣など、長く使うものに適しています。

漆は完全に硬化すると、大変強靭な塗膜となります。
その塗膜はアルカリや酸にも強く、さらに抗菌作用があるのでとても素材として優秀なものです。

昔の日本で戦に着ていく鎧に漆を用いられていたのは、何重にも塗り重ねた漆は大変強度が高く、槍や刀も通さないため戦いに適していたからです。

漆はとても貴重な素材

ウルシの木1本から採れる漆は、わずか200mlほどです。
さらに、ウルシの木は漆を採取した後は伐採されるので、本当に時間と手間をかけて得られる、とても貴重な自然資源です。

現在、日本で使われている漆の多くは輸入品で、国産の漆は非常に希少です。

器だけではなく、鎧や家具にも使われてきた漆は、自然由来で体にやさしくとても丈夫です。
長く日本の伝統により受け継がれてきたこの漆を使い、大切な器を修理しましょう。

日本の伝統工芸の金継ぎは本物の漆を使用する

また、金継ぎをするにあたって、ここがとても大事なポイントです。

金継ぎには、大きく分けて2つの方法があります。

・本物の漆を使った「伝統的な金継ぎ」
・合成接着剤を使った「簡易金継ぎ」

簡易金継ぎは、手軽で短時間で仕上がるのがメリットです。漆を使わないのでかぶれることはありません。
ただし、合成接着剤を使用するため、口に入れる食器には適していません。

現在、海外のワークショップなどで行う金継ぎは簡易的なもので、合成接着剤を使用するものが多いです。
当日、完成して持ち帰る必要があるので、本物の漆は使えないからです。
本物の漆を使用する場合、漆が乾くまでに10日以上か狩るので、最短でも2ヶ月以上の時間が必要なため簡易なもので代用しています。

日本の漆を使った本物の伝統工芸、「蒔絵」や「金継ぎ」は、本物の漆を使用します。
時間がかかるぶん、自然にも人にも優しく大変丈夫です。
また、本物は時間が経過するほどに強靭になります。

なので、この簡易金継ぎと、日本の伝統工芸の漆は別物なのではっきり分けて考える必要があります。

今も日本では漆職人を養成する本格的な学校があり、そこで道具から作ることを学び何年もかけて本物の漆家になっていきます。また、職人に弟子入りして何年もかけて技術を習得していく道もあります。

本物の漆は安心して使える素材

一方、本物の漆は自然由来の素材です。
正しく精製・硬化された漆は、食器として安心して使用できます。

さらに、漆は時間が経つほど強度が増していくという特性があります。
使い続けるほどに、器とともに育っていく素材です。

漆か合成かを見極めることが大切

見た目が似ていても、漆と合成接着剤はまったく別のものです。

・食器として使いたいのか
・インテリアとして飾るのか

用途によって、適した方法を選ぶ必要があります。

ここを間違えると、せっかく直した器が使えないものになってしまうこともあります。

金継ぎは「修理」ではなく「再生」です

金継ぎは、ただ壊れたものを直す技術ではありません。

長い年月をかけて育った漆と、人の手仕事が合わさることで、器に新たな価値を与えます。
そしてその器は、また長く使い続けることができます。

優しく、強く、美しい自然の恵みを活かして、大切な器をこれからも長く使い続けていきましょう。

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